第五章 盗人

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 教主も告げたように、聖衣の在処を知る人間は限られている。  それと同時に、刺客を放つという目立つ行為をしたのは、むしろレナスをおびき寄せるためではないか。  からくりの箱の開け方は教主しか知らない。子飼いの守護剣士を人質にすれば、情に負けて彼女も答えるかもしれないと。  神官のフィルに目星をつけて、教会を訪れたのが功を奏した。  味を隠すため苦い飲み物に睡眠薬を混ぜ、レナスを連れ去るまでは計画通りだったろう。  そして、海を渡るつもりだというなら、フィルの背後にいるのは隣国セドナに違いなかった。
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