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第七章 聖衣と水晶の剣
イザの町の闇は濃い。
海岸沿いには貧しい者が、家もなくあちこちで夜を過ごしている。まだ肌寒さが残るというのに、布団一枚なく、老人から子供まで身を寄せ合って眠っている。
満天の星空が真珠よりも輝いている。エルガーテ教では夜を嫌うから、滅多と空を見上げなかった。
ずぶ濡れのまま、夜中の海岸を彷徨うレナスは、ぼんやりと先程からのことを回想した。
フィルを助け、海岸の砂浜にたどり着いたまでは良かった。家族に命の恩人だと何度も礼を言われたが、その代償は大きかった。
聖衣の入った箱が、行方知れずになったのだ。
違う場所に流れ着いて、誰かが拾ったかもしれない。レナスは水晶の剣に導かれ、貧民窟にたどり着いたのだった。
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