そして誰もいなくなる

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ひとみはインターンに合格し、汐留エージェンシーに潜入した。 社内ではクリエイティブがヒエラルキーの頂点、続いてマーケティング、そして、営業。 事務は9割派遣でヒエラルキーの最下層だった。 ひとみは最初の週は営業でベテラン社員とスーツ姿で売り込みに奔走した。 莫大な金が動く広告業界。 営業も海千山千だ。 営業は他業種の事務と合コンが多い。 たいていワンナイトだ。 とにかく体育会系。 ひとみには合わない。 営業から得られた情報はない。 続いて、マーケティング。 汐留エージェンシーの頭脳。 ロジカルな会話と思考が飛び交う。 数字で物事を考える。 無駄なプライベートは過ごさない合理主義の人間の集まりだ。 数字に弱いひとみはかなり四苦八苦したのだ。 そして、汐留エージェンシーのヒエラルキーの頂点クリエイティブ。 クリエイティブは入社後、クリエイティブ試験に通ったもののみの選ばれし世界。 選民意識も強い。 クリエイティブディレクター、プランナー、コピーライター、アートディレクター、デザイナーがいる。 オシャレでブランド思考。 男性社員は、そのネームバリューで派遣の若い事務を性の捌け口にしている。
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