そして誰もいなくなる

2/61
前へ
/61ページ
次へ
25年後、萩尾雄介の娘萩尾塔子は35歳になった。 週間太陽の編集者をしている。 太陽新聞グループの雑誌なので、報道規制が多い。 女優白川かおり26歳と俳優水野タケル34歳の不倫を追っていた。 二人はドラマの共演から不倫関係に陥った。 「萩尾、白川かおりと水野タケルの記事は無しだ。」 編集長二谷正晴51歳が塔子のデスクにやって来た。 二谷はバブル期の石田純一のプロデューサー巻きのカーディガンに白シャツ、ジーパンで白髪混じりのメタボだ。 「来月号の目玉です。 私の記事を出して下さい。」 ショートボブにグレーのパンツスーツの塔子は二谷に強く訴える。 「太陽新聞直々の命令だ。 萩尾、諦めろ。」 コーヒーを飲む二谷。 「理由を教えて下さい。 私は、納得出来ません。」 強い口調の塔子。 「萩尾、13年目だろ? 新人じゃないんだから、熱くなるな。 大人の事情だよ。 じゃあな。松江庵に昼飯行くわ。」 編集部から去る二谷。 二谷の後ろ姿を見つめる塔子。
/61ページ

最初のコメントを投稿しよう!

45人が本棚に入れています
本棚に追加