そして誰もいなくなる

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「塔子、ドトールのミラノサンド買ってきた、私の奢り。 屋上行かない?」 週間太陽編集部の同期である綾部泉35歳が塔子の元にやって来た。 泉は黒のパンツスーツでセミロングの髪を後ろで縛っている。 「泉、ありがとう。」 ブラックをそれぞれ持って、エレベーターで最上階に上がり、そこから階段で屋上に向かう塔子と泉。 目の前に雲一つない青空東京タワーが拡がっている。 ベンチに座る塔子と泉。 塔子にミラノサンドを渡す泉。 「いくら?」 財布を取り出す塔子。 「ドトールだし、今日は奢り。 今度、一蘭のラーメン奢って。」 「了解。 泉、ありがとう。」 コーヒーを飲む塔子。 ミラノサンドに齧りつく泉。 「お蔵入り多いなぁ。」 塔子が呟いて、ミラノサンドを頬張る。 「それが週間太陽。」 キッパリ言い切る泉。 「何がタブーだったの?」 塔子は泉に尋ねる。 「分からん。フリーライターの倉田さんに聞いたら。 あの人情報通だし。」 コーヒーを飲む泉。
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