そして誰もいなくなる

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「平川忠義周りが覚醒剤と結びつかない。」 塔子はPCを見つめて行った。 紺のパンツスーツだ。 「やっぱ菜々美に嵌められたか。」 ボソッと呟く塔子。 「第三者だとしたら?」 三谷がキッパリ言った。 三谷はカーキのジャケットを着ている。 「第三者ねぇ。」 春樹が呟く。 コムデギャルソン好きの春樹。 「確かに六本木広告社は最近勢いあったし、業界ナンバー1の汐留エージェンシーはかなり黒い噂があった。」 玲子は強い口調で言った。 ベージュのパンツスーツだ。 「派遣社員へのレイプ事件。 その後、被害者の棚辺梨花さん24歳は 社内のトイレで首吊り自殺。 事務周りは9割派遣で、レイプの被害者も複数いたという。 ただ報道管制が敷かれていて、マスコミでは報じられていない。」 三谷は淡々と話す。 「複数のレイプ被害者にもかなりのお金と再就職先が斡旋されている。」 春樹は鋭い口調で語った。 「後、パクリもあった。」 玲子は早口で言う。 「東京ワールドカルチャー?」 塔子が尋ねる。 「汐留エージェンシーの化粧品のCM作品、マイナー制作会社ソフィアの地方CMのパクリ。」 玲子はハッキリ言った。
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