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翌日、コンビニで買っておいた物で朝食を済ませ、ホテルをチェックアウトした。これから直接学校に向かう。
制服一式を持って来てたから少し荷物が多くなったので駅前のコインロッカーに預けた。
これで『何故、荷物が多い』と先生に心配される心配はない。
「流石にお父さんも、家出はしたこと無かったなぁ」
学校に行く前に家に電話をすると、お父さんは家出の感想を聞いてきた。
脇坂玲美からも『そういえば、なんで、ホテルにいるの?』って聞かれたが、ちょっと冒険したくなっただけと答えた。その答えに深く追求しないで、『まぁ、楽しいなら良かったよ』と笑顔で言ってくれた。
もう、意識はしてなかったが、何か一つだけお父さんと違う部分を見つけられた気がした。
そして放課後、彼女と待ち合わせをしていた。同じクラスで、終わるタイミングも同じなのに待たされている
「お待たせー! さぁ駅まで帰ろう!」
「あのさ、昨日の答えは?」
「何、答えって?」
「何って、一つしかないでしょ!」
「まぁまぁ、焦らず行きましょうじゃないか青年よ」
「おちょくるなよ」
「おちょくるなよぉ」
「サヨナラ」
「あっ、ちょっとぉ! ふざけすぎました! ごめんってばぁ!」
僕は彼女に構わず歩く、足早に。
「今度はキスさせてあげるからぁ」
言葉に少しドキッとした。
後ろから言って来てるから脇坂玲美の表情はどんなものかは分からない。
でも、彼女もきっとニヤついているんだろう。
昨日、あの夜のとばりの中で君に会えたから、嬉しくなった。
俺の気持ちが動いたのは、出口のない暗闇の中で、見えてきた光を愛おしく思えたからなんだ。
やっぱり玲美ってとっても元気で、たくさん元気をくれる人なんだ。
好きになった理由はそれだけじゃないんだけど、なんだかやっと青春らしくなってきた気がする。
まぁ、お父さんにはまだまだ勝てないけどね。
少しずつ変わってきたよ、俺。
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