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告白
「ぼ、僕は・・・」
清次は何か言いかけては黙る。
ああ、イライラする。
昔からイライラさせられる。
幼馴染みの清次、真優、2人共にオレに気を使ってイライラさせる。
「ハッキリ言ってくれ!頼むから本心を言ってくれ!そうすれば魔王の呪いは解けて、オレは正気に戻れるんだ!」
涙声の訴え。
それを汲み取った清次は静寂の中で、
「僕はずっと姫・・・、真優のことが誰よりも好きだ!」
と告白をした。
オレが真優の腕を離すと清次に向かって走り、抱きついた。
ピンクのスポットが2人を照らし、祝福の花びらが舞う。
黒装束の仲間は白装束と姿を変え、祝福の音楽の中を舞い踊る。
「魔王の呪いは解けた!ありがとう、ロミオ王子!」
オレは仮面を外し、舞台から姿を消した。
舞台裏の暗闇の中で、オレは泣きながら笑っていた。
「これで良かったんだ・・・」
「お疲れさん、魔王様」
声をかけてきたのは大悟。
オレは泣き顔を見られまいと、再び仮面を被った。
「泣きたきゃ素直に泣けよ、陽斗」
「泣いてねーし」
「フラれた時は泣いていいんだぜ」
「いや、だから泣いてねーし」
涙が次々と溢れるせいで、オレはずっと仮面を外せずにいた。
END
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