永遠の日

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『今、どこにいるの?』  いつものようにポケットの中で震えたスマホ、家路に向かいながら画面を確認してため息を一つ。  表示は司、まるで監視でもされているみたい。 『ごめんね、残業になっちゃって。もう、ちょっとで着くから』  打ちながら、無意識にさっきよりも大きなため息が出てしまったことに気づく。  憂鬱の原因は、今の生活の全てにある。  帰ってから夕飯を作って、お風呂掃除をして、洗濯を回しながら夕飯の後片付けをする。  寝るのはきっとまた25時だ。  6時前には起床して朝ごはんを作り、身支度を整える。  一人ならば、適当に夕飯を済まし、洗濯なんか三日に一回。  朝だって身支度だけ整えて会社の近くで一人で軽めの朝食を取るだろう。  間違ったって自分のためには、お味噌汁の出汁を取ったりなんかしないのに。  返事をしなければ更に催促のメッセージが届きそうだから、もう一つオマケにため息をついて送信。  一瞬で既読になって、すぐにまたスマホが震えた。 『うそつき』  え?! なんで?  立ち止まり画面を凝視していたら。 「うそつき、もうちょっとじゃないじゃん? あと、5分以上かかるでしょ」  後ろからかかるその声に身をすくめ、恐る恐る振り返った先で。 「僕も残業だったんだ、お腹空いたね」  仕事帰りの夫が私のすぐ後ろにいたことに驚き声をあげそうになった。
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