永遠の日

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 それら全ての音や声はエプロンポケットの中のボイスレコーダーに録音されていた。  マンションを出て実家に避難した私。  別れたくないと私の会社にまで来て、ロビーで泣き崩れた司を不審者と勘違いをした上司が慌てて警察を呼んでしまい問題が大きくなった。  警察沙汰になったことにより、司の会社での立場は無くなる。  マンションは私への慰謝料となり、仕事もクビになった司と最後にあったのは3回目の離婚調停の日だ。  すっかり痩せて小ぎれいだったはずの司のスーツはヨレヨレで無精ひげまで生えていた。  心なしか銀縁メガネも曇っている。 「萌香、もう二度としないから、だから」  壊れた機械のように虚ろな目で私を見つめる司に首を横に振った。  もう無理なの、愛せないの。  しばらく私の顔を見つめていた司は声にならない声でなにかを呟いた。  それが何だったのかはその時の私にはわからない。 「ごめんなさい、別れてください」  何の感情も持たない私の声に最後に大粒の涙を零して。  何も(くつがえ)らないことを覚悟したのか、司は離婚届に印を押してくれた。
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