Air彼女をきみに

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 この日を境に雅成は変わった。光紀に対して彼女がいることの自慢話やアピールをしてくるようになったのである。 昨日遊園地に行った、映画館に行った、動物園に行った、水族館に行った、カラオケに行って一緒にデュエットした、だのと言う話を延々としてくるようになった。 それどころか、光紀が久々に雅成と遊びに行った際にも「彼女」からの電話を受けてほったらかしにした挙げ句、電話を切った後「彼女が寂しいって電話してきたわー」と、するようになってしまった。光紀からすれば鬱陶しいだけである。 こんな日々が続くこと半年、光紀と雅成は益々疎遠になるかと思われたが、何故か会う回数は増えていた。雅成の彼女自慢は未だに続いている。光紀は正直「こいつの彼女自慢はウザい」と思っているのだが、昔からの親友であるために邪険な扱いには出来ないし、雅成を嫌いにはなれない。不思議なことに雅成の方が彼女を邪険にしている(てい)まであった。  ある日のこと、光紀と雅成は一緒に釣りへと行った。池沿いで釣り糸を垂らすも二人共ボウズでイライラしていると、雅成が唐突に光紀に語りだした。 「実はさぁ、今日彼女の誕生日だったんだよね」 「はぁ? 俺と釣りなんて行ってていいの?」 「いいのいいの、俺も今さっき思い出した。メールしといたからへーきへーき」 「お前、彼女の誕生日忘れるなんて最低だな」 「オゥ! 彼女の誕生日は忘れても、お前の誕生日は忘れないぜ? 親友の誕生日忘れるなんてドクズだからな」 「それはそれで嬉しいけど…… 彼女の誕生日忘れるお前がドクズだって自覚あるか?」 「彼女も大事だけど、お前も大事なんだよ。それをドクズ扱いとは心外だな」 「へいへい、すまねすまね」 クリスマスのこと、雅成は光紀の家にケーキとチキンを持って襲来してきた。 「おう、暇か? クリスマスパーテーしようぜ?」 「どうせクリぼっちだからいいんだけどさ…… 来てくれて嬉しいよ。でも、お前はいいのか? クリスマスって彼女と一緒に過ごすもんじゃないのか?」 「いーのいーの、あいつ逞しい女だから気にしないって!」 「まじかよ」 クリスマスを過ごす光紀と雅成。雅成は楽しそうにクリスマスパーティーを堪能するが、光紀はどこかスッキリとしないのであった。雅成が彼女を放置して自分のところにいていいのかと考えているからである。 「なぁ、もう少し彼女さん大事にしてやったらどうだ? 最近、ってか俺と遊びに行く度に彼女さん電話かけてくるけど……」 「いーのいーの、親友(ともだち)を蔑ろにする男は女に好かれないだろ?」 「そりゃそうだけど……」
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