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夜中に目を覚ますとお父さんは大抵仕事部屋に籠ってなにかしている。ドアの隙間から明かりが漏れているし、物音も聞こえるので気配で何となく分かる。
僕の家は二階建てだ。一階は和室やリビング、キッチンがあって二階はお父さんとお母さんが寝る部屋、僕の部屋、それにリモートワークになったお父さんの仕事部屋がある。パソコンは会社が支給したものではなく、自分で用意したのだという。四十万以上したそうだ。パソコンを買ってすぐ見せてもらったのだがデュアルディスプレイでハードの内部は赤青に光っていた。凄いなと思った。高性能なモデルらしい。
今は四月中旬だ。僕は高校二年生。彼女ではないが仲の良い好きな女の子がいる。同じクラスの仁海だ。こうやって眠れない夜はふざけて海で撮った仁海の居眠り動画を観るのだが、今日はお父さんが何してるのか気になった。
僕はトイレから部屋に戻ったがまた部屋を出てお父さんの仕事部屋をノックした。返事がないので声を掛けた。
「お父さん、起きてなにかやってるんでしょ?開けてもいい?」
内側からドアが開いた。お父さんはニットにスラックスだ。昔はけっこう女性に人気があったらしく顔が整っている。パッチリとした目。目の間から高い鼻。口角のあがった口元。
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