第1章 わたくしの記憶

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 どうにか断罪される未来を受け入れ、どうするか考えたわたくしには色々な選択肢があった。  まず、最後まであがいてバットエンドを回避すること。でもこれはしない……。やっても変わらないだろうから。  なら、物語通りに運命のままに進んでみよう。  最愛のトーマ様と結ばれることはなくても、他国で静かに暮らそう。  でも、静かに暮らすには追放され家から追い出されるわたくしの居場所を見つけなければいけない。  そう簡単に見つかるだろうか……?  そもそも仕事をしないといけないと思う。  だけど侯爵令嬢として育ってきたわたくしにできることと言えば、淑女教育、マナーからダンス、勉強などにプラスして、王太子の婚約者としてしなければならない国の為の教育。  そのどれもが、追放されたあと役に立つとは思わない。唯一はマナーくらいだろうか……。  でも、この勉強から逃げられるはずもないので、これらをこなしながら生きていける術を身につけなければならない。  教会に行って、修道女になるのが普通なのだろうけれど、どうせ追放されるとわかって、準備時間があるのだから違うことをしたい。  うーん……。  リオの記憶の中にある職業は――、メイド、宿屋、料理人、薬師……色々あるわね。
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