第1章 わたくしの記憶

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 そう言っても、渋って許可を出してくれないお父様。 「お父様、おねがいします!」  わたくしは必殺技を繰り出した。  まだ子供の小さい体の為軽々と動ける。  転ばないように気をつけながらもお父様に走り寄って――飛びついた。もちろん軽々とわたくしを受け止めるお父様。  そんなお父様に上目遣いで見つめるのだ。 「うっ……レティ――わかったよ。ただし、剣や弓では無く、護身術にも使える短剣のみだ。それ以外許可しない」  折れてくれたお父様。  嬉しさを隠さず、わたくしはお父様のほっぺにチュッとキスをした。 「ありがとうございます。お父様っ」  短剣でも十分だ。  自分を守ることも出来るし、遠くの攻撃はできないけれど、練習すれば使えるようになるだろう。  お父様から無事に許可を取り付けたわたくしは、それ以来、護身術のお稽古の時間に短剣を学んできた。  もちろん、他のお勉強だって疎かにしなかった。
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