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第2章 物語通りに進めます
17歳の現在――。誕生日パーティーという名の断罪パーティーが開かれるまであと3日。
7年間の努力は決して無駄ではないだろう。
貴族の令嬢としても恥ずかしくないよう、両立してきた。
知識はもちろん、あらゆる事ができるようになった。もちろん、ずっと学んできた短剣もそう簡単に負けないくらいには強くなっている。
国外追放され、冒険者になるまであと少し……。
そのはずなのだが――。
「レティ、こっちにおいで?」
なぜかわたくしは、トーマ様から溺愛されていた。
2日に1回、多い時は連日になる時もあるけれど、わたくしの家にトーマ様が来る。来れない時には王宮に来ないかと誘われる。
今も、我が家の応接室でトーマ様はまったりしていた。
今の言葉は、どういうことだろう……。
まさか、隣に呼んで手に持っているカップのお茶をかけられるとか?
悪役令嬢のわたくしが溺愛されるなんて有り得ないのだから。
そう思いながら、恐る恐るトーマ様の隣に座った。
「レティはいい子だね。こんなレティがもうすぐ……」
トーマ様は持っていたカップをテーブルに戻すと、わたくしの髪の毛先をクルクルといじり出した。
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