プロローグ

2/2
536人が本棚に入れています
本棚に追加
/51ページ
 本来なら、直ぐに「楽にせよ」と言われ、話ができるのだが、なぜかおふたりとも反応して下さらない。  どうして……?  わたくしはいけない事だと思いながらも、恐る恐る祭壇の上のおふたりを見上げた。 「――っ」  その顔を見て、思わず息を飲む。突き刺さるような冷たい視線だ。  さっきまで祝いだと感じていた周りの視線も、同じように私の背中に突き刺さっている。  一体何が起きているの? 「レティシア・ウィルド、貴様にはこれまでの行いを償って貰う。私の慕うサラ・アルテニー嬢にした数々の行い――決して許されることではない。よって……私との婚約を破棄、その上国外追放とする」  楽しくなるはずの誕生日パーティー。  主役のはずのわたくしは、愛する人から見放され、断罪された――。
/51ページ

最初のコメントを投稿しよう!