第1章 わたくしの記憶

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第1章 わたくしの記憶

 あと3日で、わたくしレティシア・ウィルドは18歳になる。  そして、その誕生日パーティーは王宮で盛大に行われることになっていた。  本来なら自分の家の屋敷で、仲の良い人達を招待して行うものだけれど、こればかりは仕方がない。  わたくしは、王太子であるトーマ・ハルディオ様の婚約者なのだから――。 「わたくしが冒険者になるまであと少し……」  そう呟きながら、わたくしは10歳の頃の出来事を思い出していた。 ***  ある日、わたくしは淑女教育のひとつであるダンスのレッスンをしている時、突然の頭痛に襲われた。  立っていられないほどの痛みで、朦朧とする意識の中、頭の中には知らない記憶が次々と注ぎ込まれてきた。 「こ、れは……」  耐えられなくなった私は、その場でパタリと倒れた――らしい。らしいというのは覚えていないからだ。  そして、起きたらわたくしは見覚えのない記憶を所持していた。  その記憶の持ち主は、リオという女の子。多分年齢は同じくらいだと思う。  記憶から、リオは転生する前のわたくしだと推測できる。  リオがわたくしだという確証はないけれど、何故かそう感じた。わたくしの前世なのだと……
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