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「ついに、来てしまったわね……」
メイドが出て1人になったのを確認してから、そう声に出した。実感が湧いてくる。
わたくしは今日で貴族を辞め、冒険者になる。まずはどこの国に行こうか……。
不安になっているより楽しいことを考えようと、今後のことを想像する。
まずは、冒険者登録をしなくていけない。どこでも出来るけれど、パーティーの後だとこの国では登録することが出来ないはずだ。
まずは隣国で登録してみようか?
1度登録してしまえば、あとはどこでも使えて共通のものだったはず。だから他の国でも使える。
冒険者になることを考えて少しワクワクしていると部屋をノックする音がした。
――どちら様?
たしか、リオの記憶の中の物語では、主役だから1番最後に入って欲しいと言われていた為、この部屋にだれかが来ることなんて無かったはずだ。たぶん……。
もしかして、もう出番が来たのかしら?
そう思いながら、扉の向こうにいる人に向かって返事をした。
「どうぞ」
もう出番なら、気を引き締めておかないといけない。そう思って頭の中を整理し、凛とした声を出す。
ガチャっと音を立てて開いた扉に目を向けると、そこにはありえない人が立っていた。
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