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破棄したあとネクタイをサラ様の色に変えるとか?
色んな疑問が浮かんでしまい、頭の中を埋めつくしてくる。
「レティも私の色を付けてくれたのだね」
トーマ様はそう言いながらわたくしに近づいて来て、胸元にあるリボンで作られた花を見て嬉しそうにしている。
今の……このトーマ様はどこまでが演技なの?
嬉しそうな顔が嘘だとは思えない。冷たさなんて微塵も感じられない。
「……トーマ様の婚約者ですから当然ですわ」
「ありがとう」
嬉しいのに、素直に喜べないわたくしはどうしてもツンとしてしまう。
トーマ様が優しいのはこれが最後――。その魅力に惑わされてはダメ。後悔することになるのは分かっているのだから。
ふぅーっと落ち着くために一度深呼吸をしてから、トーマ様に向き直った。
「トーマ様どうして、こちらにいらしたのですか?」
「どうしてって……レティシア、キミをエスコートするためだよ?」
エスコート……?たしかにパーティーでは、婚約者や親、兄弟がエスコートして入るのが普通。
だけど今回は特別だからと1人で入るのでは無かったの?
わたくしの知らない展開にあたふたしてしまう。
これは――夢!?そう思わずにはいられない。
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