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エピローグ
国王様のお言葉の後、各自がわたくし達をお祝いする為にパーティーを楽しんだ。
そんな中、わたくしは挨拶もひと段落した隙を狙って、トーマ様をパーティー会場から連れ出した。そして、初めに案内された控え室に引っ張り込む。
はしたないなんて考えは、今のわたくしには無い。
「もう、妻になってくれるからと言って、レティから引っ張ってもらえるなんて嬉しいなぁ」
部屋に入った途端、トーマ様がそんなことを言う。
だけど、わたくしにはトーマ様に聞かなくてはいけないことがある。
あの場では、喜んでお受け致しますと返事をしてしまったけれど、挨拶をしながら冷静になってきたわたくしは“悪役令嬢”という事が頭の中に戻ってきたのだ。
「どうして……」
「ん?」
「どうしてわたくしなのですか?」
“悪役令嬢”のわたくしではなく、トーマ様は“ヒロイン”のサラ様と結ばれるはずなのだ。
「私がこんなに可愛いレティシアを手放すはずがないでしょ?」
サラッと当然のように言われる。でも――。
「でもわたくし、悪役令嬢……」
「レティ?それは何?」
しまった……!悪役令嬢はリオの記憶なのだ。トーマ様が知るはずない。
「でもわたくし、たくさん悪いことしてきました」
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