第1章 わたくしの記憶

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 わざと足を出して転ばせたり……、お茶会でサラにだけお菓子を少なくしたり……、トーマとふたりきりになっているのを見て癇癪を起こしたり……。  そのせいで、トーマは更に離れて行ってしまう。  レティシアには、それも許せなくて――。  だけど、18歳の誕生日パーティー。記念すべきその日は、ついに王族の一員になれるのだと楽しみにしていた。  王族になってしまえば、いくら惹かれあっていても、トーマとサラがくっつくということは無い。身分という高い壁が邪魔をしている。  なのに、そのいじめがバレて18歳の誕生日パーティーで婚約破棄と国外追放を命じられるのだ。  バレるというより、元々レティシアがサラをいじめている事は、誰もが知る周知の事実だった為、王妃になるのはレティシアよりサラの方が相応しいという声が多かった。  サラより身分の高い令嬢でも、サラとトーマが仲の良いことを知っていて、王太子と近づけるなら……と仲良くしている人がほとんどだった。  愛されキャラなせいか、身分が上の令嬢もそれを妬むことはしていない。  だからみんな、いじめているレティシアを遠ざけていた。  侯爵令嬢なのに、その取り巻きは少ない。
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