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たとえ、わたくしが悪役令嬢でもそれは変わることの無い事実。
「そんなの……し、したいに決まっています」
恥ずかしさを隠せず、俯きながらそう言い切る。
いつか断罪されることになったとしても、その時になったらまた考えればいい。
わたくしは今のトーマ様を信じよう。
「あぁ、まったくもう……可愛いなぁ。レティシア、それ以上私を煽らないでね」
トーマ様はそう言って、わたくしを抱きしめた。途端にカチンと固まるわたくしの身体。
だけどこの気持ち――、わたくしも返してもいいのですよね?ぎごちなさを残したまま、わたくしは自分の両腕をトーマ様の背中に回した。
断罪されるはずだった人生――、なぜかわたくしは初恋の婚約者に溺愛される事になりました。
――Fin
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