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 西暦二〇二〇年の年明けから春にかけて、世界は、それまでまったく経験したことのない特異な時間を過ごすことになりました。  言うまでもありません、中国のとある地域からまたたく間に世界に広がった新型コロナウイルスの影響で、我々の生活は一変することになったのです。  僕は、あまり偏差値の高くない私立大学の文学部国文学科というところに通っている一介の大学生なので、そのウイルスに関して詳述する能力はありません。いえ、「新型」と銘打っているのですから、これまでのどのウイルスとも異なるわけで、このウイルスについて何かを知っているという人は世界に誰もいなかったのではないでしょうか。  日本人に限らず、およそほぼすべての人がこのウイルスによる何らかの影響を受けたことと思います。僕の身に起こったことが、ほかの人のそれに比べて特別おかしなものだったのか否かは、僕には客観的に判断することはできません。  とにかく、僕の経験したことをここに偽りなく記し、はたして僕たちの感じた恐怖が一体何だったのか、皆さまに判断していただきたいと思います。
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