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そして一誠さんの伝手で結婚式の会場や日取りが決まり、さらに私たちが住む家は、お祖父様と交渉して同居させてもらうことになった。 一誠さんは、お祖母様と仲がいいし、ここなら笠松家に同居して嫁姑や親戚との付き合いで嫌な思いをしなくて済むと考えてくれたようだ。 それでも入籍して笠松香子になったから、嫁としての気配りは欠かせないけど。 入籍したのは、4月1日。 新年度の始まりの日だから、二人のスタートにいいだろうと決めた。 ただ市役所に届を出して、その場で写真を撮ってもらうと一誠さんは笠松グループの入社式に出席のため、慌ただしく出かけて行ったから、ふたりだけのお祝いは出来ず、夕食時、私の家族がお祖父様の家に集まり、和やかな食事会をしたのだった。 「香子?」 「ちょっと色々思い出して、浸っちゃった。お父様、いままでありがとう。」 「これからは一誠くんと仲良くな。」 扉が開き、私たちは一誠さんの待つ場所に向けて歩き出した。
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