プロローグ

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「どう思う?」  一座を後にしてから、ヨギリは小声で部下へと問いかける。そうですね、とザーリャは眼鏡に指をあてたまま静かに返答した。 「グレー、かと。子供を新団長にという時点でかなり怪しくはありますね」  部下の冷静な指摘に、そう言われてみればそうだったなとヨギリは頷く。 「だが、無理矢理なら俺たちに助けを求める事もできただろう?」 「何らかの目的があるのでしょう。単純に彼と知り合いの可能性も捨てきれません」 「或いは、こちらを頼りたくない理由があったか、だな」  その発言に、ザーリャが僅かに目を細める。ヨギリはメモ帳とペンを取り出し、新たなページにエルスの名前を書きとめた。 「新団長、か。調べる必要がありそうだな」  名前の隣に『要調査』と付け加えられ、メモ帳はぱたりと閉じられた。
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