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どたどたどた、と慌ただしい足音が部屋の外から響く。
ガン、とどでかい音を立てて背後のドアが開き、生首がすっ飛んできた。
「おいこら団長さっきの放送どういうことだァ!?」
「キャアアアアアアアア!?」
エルスは悲鳴を上げたが、オールトは慣れた手つきで生首をキャッチする。
自らの首をボールの如く投げつけたらしく、遅れて首から下が部屋に入って来る。とんだホラーであった。
「そんなポット出がトップなんてさァ、ヤバいって」
「うんうん、ごめんね。世代交代って大事だからね」
そう言うと、オールトは首の上に頭部を乗せてやった。そうしているうちに、追加の乱入者が二名現れた。
「え、え、え、団長変わったらおしまいじゃないかここ、いやだああああ」
「なんかおもしろそーでついてきたー」
何この人たち、という感想は間違っていた。
嫌だとわめいている美青年は普通に見えたが、もう一人の子供は犬っぽい耳と尻尾がついていた。生首で元気に喋っている人間といい、どう見ても人ではない。
「きっと仮装、つけ耳よ……生首は……げ、幻覚?」
「はいはい、この子驚いてるから、ボリューム下げてね」
混乱しているエルスの肩にぽんと手が置かれたのは、安心させるためか逃亡を防止するためか。
元団長のその一言で、途端に各々は大人しくなった。
代わりにじろじろと無遠慮な視線が少女の体中に突き刺さる。
「あ、あああ、ど、ど、どうしよう」
「メルもつれてこよー」
「やめとけ。さてどうするかねェ……」
やけにおどおどしている男に、いまいち様子が分かっていないらしい男の子に、半笑いを浮かべたままの首が取れかけている男。
個性あふれる面子を前に、オールトはにこにこと皆に向け笑顔で言った。
「今日からエルスちゃんが団長だよ。挨拶はまた今度ね」
そして意見をシャットアウトするように、ばたんと扉を閉める。
それを区切りに、エルスは矢継ぎ早に喋り出した。
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