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(い、いけるかも? よくわかんないけど、出し物の頻度を上げたらいいのよね?)
「ちなみに、こちらがここ数年の、こちらの収益記録になります」
エルスが何とかなるかもと前向きになりかけたところで、とどめとばかりに最後の書類が渡された。それを見て、びしりと固まる。
「では、これでお暇します。健闘を祈っていますよ」
「失礼しました」
「うん、じゃあね」
硬直状態の新団長を横目に、オールトはのほほんと笑顔で客人を見送った。
ばたん、と扉が閉じてからようやく、重い動作でエルスは顔を上げる。
「あ、あの、この金額、ぜんっぜん足りてないんだけど」
「うん、そうだね」
「今までの二倍……いや三倍は稼がないと……こ、これどうするの?」
「どうしようかねえ」
「どうすんのよー!!」
とうとうエルスは大声を上げた。しかし悲しいかな、返ってくるのはがんばってねーと他人事のようなエールだけであった。
バイト探しから、一躍団長の座へ。
そして初日から一座存続の危機に見舞われ、エルスは軽い気持ちで乗ってしまったことを早速後悔した。
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