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全ての展示を見終えた私たちは、お土産の売店で足を止めた。
私たちの好きなイラストレーターさんの絵が、いろんな商品にプリントされている。
「麻弥ちゃん、何か欲しいものある?」
店内をわくわくしながら見て回る私に、優也さんが尋ねた。
「もう、全部欲しいです!」
かわいい絵がプリントされたマグカップを手に、私が答えると、優也さんはくすくすと笑った。
「やっといつもの麻弥ちゃんに会えた」
えっ?
「ずっとおとなしかったから。そうやっていつもみたいに、明るく笑っててよ」
優也さんはそう言うと、私の手からそのマグカップを取り上げた。
「これ、2つ並べると絵が繋がるんだな」
高校生くらいのカップルが照れ臭そうに手を繋ぐイラストがぐるっとカップに一周して描かれているので、向かい合わせで並べると、その初々しいカップルの絵が綺麗に繋がるようになっている。
「これ、お揃いで使おう」
優也さんが私の顔を覗き込む。
「離れてるし、なかなか会えないけど、心はこうやって繋がってるって思いたいから」
それって……どういう……?
あり得ないと思いつつも、心は勝手に期待をしてしまう。
優也さんは、私の返事を待たずにマグカップを2個持ってレジに向かう。
「プレゼントに」
そう言った優也さんは、代金を支払うと綺麗にラッピングされたマグカップの入った紙袋を受け取った。
「すぐそこに、イタリアンのお店があるらしいんだけど、麻弥ちゃん、好き嫌いある?」
私は、無言で首を横に振る。
「じゃあ、食べに行こ」
優也さんは、紙袋を持っていない方の手で、再び私の手を握ると、そのまま美術館を後にした。
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