学級委員

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学級委員

今日も朝から、私は働く。 『山内さん真面目だし、山内さんでいいんじゃないですかぁ?』 私はクラス委員。 同じクラスの田辺さんの一言、推薦でクラスの意見は満場一致、私はその役職についた。 別に嫌ではない。 寧ろ、私がやることで他の人が助かるなら苦ではない。 ただ、感情を込めない。 それが私のマイルールだ。 ただそれだけ。 でも、それが大切なのだ。 「相川一さん」 「はい」 「明石未来さん」 「はい」 次。 次が難関だ。 私は人知れず、気持ちを鎮めるため、その人の名前を指でなぞる。 毎日、こうして名前を呼べるのは、役得だと思う。 でも、その仕草で、余計意識してしまって、ごほんと咳払いをする。 落ち着け。 「一田結さん」 「はい」 いちたむすぶ。 一田結。 心の中で反芻する。 いけない。 危うく、無表情が崩れそうになって気を引き締める。 次の名前を呼ばなきゃ。 「岡本冬美さん」 「はい」 私はまたいつもの調子に戻り、私はクラスメイトの名を呼んでいく。 そうして最後の人まで呼んで、「先生、何か連絡はありますか?」と先生に問う。 首を振る先生。 連絡はなしか。 ちょうど、HRの終わりを告げるチャイムが鳴った。
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