一田 結

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セルモキネシス。 それは、超能力と言われる特殊能力の一つだ。 キネシスは操ることを、セルモ…sermoは、ラテン語で「言葉」を表す。 私の家系には、二代くらいおきにその能力をもつ子供が生まれてくる。 私の力は、そこそこ高い方。 この能力は、言葉にのって発した自分の感情や考え、望みごとが現実になるという力。 普通の人は羨ましいと言うが、そんなに良い能力じゃない。 例えば、多くの人の目に触れるものや形のないもの、法律や決まりごとなんかは変えられない。あと、会ったことや見たことのないものについて影響を与えることはできない。 過去を変えることも未来を変えることもできない。 物に影響を与えるのならお茶の子さいさいだ。 例えば、水をコップ一杯分出すとか、無くした消しゴムがどこにあるかを思い出したりとか。 ただし、感情がこもっていないと力は働かない。 でも逆に言えば、感情さえこもっていれば、私の一言で、いろいろなものが変わってしまうのだ。 それこそ、私の力なら30人くらいの気持ちを一気に変えることができるから、生徒会長の選挙で投票する相手を思い通りにしたり。 あと、「好きな相手が自分を好いてくれたらいいのに」なんて言ったら、相手は私を好きになる。 私は、誰かの意図で作られた人間関係には興味がない。寧ろ嫌だ。 だから、私は無感情でいなくてはならない。 私は、セルモキネシスだから。
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