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あの日の夢
「にぃに!一緒にあそぼっ!!!」
「まって、ーーー!走ったらダメ!!苦しくなるよ!!」
「ねぇねぇ!!!おうた!うたって?、にぃにのおうたすき!だーいすき!!!」
ーーーー君は?、誰? まるで、花が咲くように綺麗に笑うのは…
「あっ、まって!!!」
そう叫んで手を伸ばすと同時に覚醒する
しばらくして、夢だったことを思い出す
でも、どんな夢だったか、誰だったのか顔も内容も思い出そうとするとあやふやに泡のように消えてゆく
「どした?ゆう、怖い夢でも見たか?こんな場所で寝てるからだろ」
マグカップを持って声をかけてきたのは悠(はる)
悠に言われてみると、自分がいるのはリビングでパソコンも起動したまま、スリープモードになっててコロコロ画面が変わっていくのに気づく
「風邪引くぞ?雄也、そんな体強くねーじゃん」
そういいながら悠は雄也の隣りに座る
「そんなこと…ない、人並みだよ」
「はいはい、で?レポートか何か?」
悠が雄也に声をかけるもボーと一点を見詰め返事がない雄也
「初恋の人が忘れられません…みたいな?」
そんな雄也に企んだような笑みを浮かべて言う悠
「はっ??な!?」
「えっ??、あれれ…、アタリ?」
「ばっ……、ちが」
悠の一言に取り乱し顔を真っ赤にする雄也
「でも、その人の顔も名前も覚えてねーんだろ?それ初恋って言う?」
そう言いリビングに顔をみせたのは蓮
「春先や桜が咲く頃になると…、毎年そうだよね。ボーとしてさ、誰か探してる感じ」
そう言いながら悠は雄也の頭を撫でる
「べ…別に、そんなんじゃ」
そっぽ向く雄也だが耳を真っ赤にする
「そんな耳真っ赤にしてもダメだぞー、バレバレ。」
「分かりやすいな、ゆうは。すぐに顔や行動に出る。嘘付けないよな。そこが可愛いとこなんだけど」
そんな雄也をみて悠、蓮が笑いながら言う
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