もう一つの顔

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バンドの練習や作曲に使う防音室で雄也、悠、蓮はライブのことやこれからのバンド活動についての話し合いをしていた 「今日のライブのよかったんじゃねーか?」 「盛り上がってたし」 悠と蓮がライブについて振り返り今の気持ちを言葉にする 「ゆーやくんはここ最近、上の空だけど?」 「ゆう、体調悪いのか?」 悠や蓮の言葉にも反応せず、ずっと一点を見て固まる雄也 そんな雄也のおでこに手を当ててみる悠 「熱は……、蓮、体温計どこだっけ」 「ちょっと顔も赤いからありそうだな。」 重いため息をついて雄也の頭を撫でると蓮は雄也を軽々しく横に抱き上げ部屋を出て行った 悠も蓮を後を追うように部屋を出る 二人がリビングに出るとCDや音楽系の雑誌類を置いてあるラックの前で蹲る音無の姿があった 悠は音無のそばに駆け寄ると小さな体を抱きしめる 蓮はソファに雄也をそっと寝かすと体温計を雄也の脇に挟み冷たい氷枕をタオルに包み首下に入れたりと手慣れた様子でテキパキとこなす。 「朋也、どうしたんだ?」 音無に優しく声をかけるも返答はない 「誰からか着信きてるぞ?」 いつの間にかそばにいた蓮が音無のケータイを手に持っている 「誰?」 「んーー、は……はね…」 悠の言葉を耳に蓮は端末に表示された文字を見るが読めない様子で口ごもる 「もしもし、…はねーー」 蓮はその相手に連絡を取ることにした 音無の今の状況からして自分たちではお手上げだと判断したのだろう その数分後、全力疾走したのか息も途切れ途切れで汗だくな一人の男性がやって来た そして、音無朋也という人物について知ることになる。
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