シャットダウン

今日も　　今日とて
特に　　変わり映えのない日。
起きた時刻が　同じ時間で
同じタイミングで　家を出て
乗ったのがたまたま同じ車両
同じ人に挨拶をして
当然同じ席に座る。
同じくキーボードを叩いて
同じくらいに客対応して
これまた同じ言葉を言われて
同じ言葉を返し続け
また戻る　　同じ作業に。

誰もいないオフィス　　明かりを消して
警備設定の音が寂しい。
灰色の箱を一歩出ればそこは・・・
同じネオン　　同じ夜風

揺られる揺られる揺られながら
明日の身のふり考えて
でも朧気になって消えていくから
とりあえず　　やめた

シャットダウン　　シャットダウン
そろそろ終わりのお時間です
シャットダウン　　シャットダウン
真っ暗にしましょう　　頭の中
シャットダウン　　シャットダウン
今日のことは上書きをして
シャットダウン　　シャットダウン
真っ暗だらけの　　俺人生

１人　　歩く　　夜道はもう
怖くなくなって
もしもここで　　なにかが起きたとしても
失うものは　　何もない　　流れに任せると

随分つまらない　　人間になったな

あぁ　　あの頃　　何を考えてったっけ・・・
あぁ　　そういえばそんなこと　　考えてたかもしれないけれど
いつしか優先順位変わったよな・・・

また余計なこと考えた

シャットダウン　　シャットダウン
そろそろ終わりのお時間です
シャットダウン　　シャットダウン
考えるのもやめにしましょう
シャットダウン　　シャットダウン
ほら　もうそろそろ充電場所です
シャットダウン　　シャットダウン
真っ暗だらけの俺人生

ネクタイを緩める
洗面所でやつれ顔と対峙する
まぁ　　こんなもんか
乱暴に洗濯機投入

相変わらず　　静かだよな

熱湯と水の調節も
特に考えず　　やりこなしてる自分は
いわば　　人造人間(アンドロイド)
無機質に溜まっていくのを観察しながら
ため息吐息

シャットダウン　　シャットダウン
そろそろ終わりのお時間です
シャットダウン　　シャットダウン
もうすぐ0％ですよ
シャットダウン　　シャットダウン
髪の毛いくつか指に絡んでた
シャットダウン　　シャットダウン
真っ暗だらけの俺人生

俺　　　一体何歌ってんだろ
俺　　　笑っちまうよな　　こんなことばっかりで
とてつもなく狭い寝床が　　乾いた体を包み込む
スマホをつけて　　また消して

お先真っ暗だな

今日の出来事フラッシュバック　　
ぽっかり浮き出る自己嫌悪
数時間後には起動しなきゃと
虚無感に甘えたふりして
スイッチ　　ぽちり

シャットダウン　　シャットダウン
今日の営業は全て終了
シャットダウン　　シャットダウン
画面も視界も真っ暗に
シャットダウン　　シャットダウン
ほのかな毛布の安心感
シャットダウン　　シャットダウン
真っ暗だらけの俺人生

それでも明日は　　やってくるのだし

できるだけ充電　　できますように―――。