きらめく星に眠る

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 おばあちゃん、何でみんな火星へ行くの?  台風明けの、不自然なくらい暑い初秋、わたしはおばあちゃんに尋ねたことがある。お母さんとお父さんが被災地へ派遣されて、次に家に帰るのはもう少し先だと言われた、どことなく物悲しい気持ちになった日だった。 「人間が生まれすぎたからだよ。地球は狭いんだ。あんな蟻んこみたいに増えたらそりゃあ何割かは死ぬだろうさ。火星移住計画が出るのも無理はない」  おばあちゃんは汗をだらだら流しながら、わたしの手をぎゅっと握って、火星が安全だっていう証拠なんざどこにもないだろうよと、ぶつぶつ悪態をついていた。 「もうずいぶん前の話だけど、最初に火星へ旅立ったやつらはすさまじい数死んだだろうねえ。今じゃテラフォーミングも人類全体が快適に暮らせるまで発展したらしい。これで転送装置が何の事故も起こさないレベルまで強度な造りになったら、私だって火星行くよ。命の保障があるならね」 「地球がもうすぐ終わるって、本当なの?」 「若者が出て行ってるから、そりゃあいつかは終わるだろう。年寄りだけで国を動かせるわけがない。みんなこぞって火星に新しい国を作ろうとかなんとか言って、実際、国が出来てるんだから、今後の流行りは火星だろうね。若い人間が火星に集まれば、火星の方が発展するに決まってる。限界集落とか見てればわかるさ」 「わたしは、何ができるのかな」
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