きらめく星に眠る

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 するとおばあちゃんは、愚問だというように大口を開いて腹の底から笑い声を出した。ガハハハハと、しわがれた声が、湿気の満ちる台風一過の空気に響いて、余計気温が高くなった気がした。 「ばーか。自分のことだけ考えてればいいんだよ。お前はお前の人生の主役なんだから、主役にスポットライトが当たって当然。自分を輝かせる未来だけ考えろ」  おばあちゃんはそう言うと、私の娘もお前も頭が悪いねえと小馬鹿にしたように眉を上げて笑み、汗でじっとりと濡れているお互いの手をさらにきつく結んだ。    **  タバコは中毒性が強い。そんな当たり前のことをわたしは感じながら、ニコチン臭い息を吐きだす。 「おばあちゃん。わたしが災害救助隊に入ったこと、まだ怒ってるんでしょ?」  年季の入った四畳半の畳は枯れた匂いがする。おばあちゃんはもうそんなに出歩けない。まだ自力で起き上がれるけど、わたしの補助がないと買い物に行くのも難しい。  ただでさえ悪い目つきをさらに眇めて、おばあちゃんはこっちをきつくにらむ。 「若い娘がタバコなんて」 「それ、女性差別ですから。未成年が吸ってるんじゃないんだから別にいいでしょ」 「誰に似たんだか」 「絶対あんただって」  ふんっと鼻を鳴らして、おばあちゃんは動かすのがつらそうな体を横に向ける。
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