きらめく星に眠る

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 振り向くと、痩せた男だった。薄汚れた服を着ている、年齢不詳の男。  わたしはとっさにおばあちゃんの手を引き、「そちらも?」と先を促した。 「電車がまだ動いてた時代を知ってるか?」 「ええ、まあ」  男はわたしたちと話したいようで、疲れた表情を浮かべながらもどこか嬉しそうに、距離を縮めてきた。 「あんたら、AI世代だろ? 特に若いの。人が機械を動かしてた頃をもう知らないだろ?」 「……そうですね」  わたしは慎重に話を合わせる。 「生まれてからロボットがいたんで」 「やっぱそうか。俺を見ても怖がらないわけだ」 「ああ、人じゃないんですね」 「アンドロイドだ。旧式だけどな」  男は名前を永遠(トワ)といった。言葉は流暢だけど、確かに体の動きがカクカクしていて、滑らかでない。 「東京に、『列車』が来てくれると思うか?」 「……そういう連絡でしたけど」  訝りながらも、わたしは男に合わせた。  彼は乾いた自嘲的な笑いを浮かべる。 「俺は嘘だと思うね。来るとしても、オンボロ列車だ。最新のじゃない。命の保障なんかあるかよ。くそ、日本なんかに生まれなきゃよかった」  男はこの世を恨んでいるらしかった。言葉の端々に、人間や社会に対する厭世的な視点がうかがえる。 「あなたは、何で東京を目指しているんですか。『列車』に乗りたいんですよね?」
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