きらめく星に眠る

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 わたしはおばあちゃんを隠しながら、男に聞く。ほかにもぽつぽつと、東京に向かっているらしい人影が増えている。 「ここにいて何もしなかったら死ぬ。ここから出て東京へ行けば死ぬかもしれないが、助かるかもしれない。賭けにもなってない、最低の選択だ。しょうがないんだよ。東京に行くしか。アンドロイドにだって人権はあるんだ」 「あなたをアップデートしてくれる人は、もういないの?」 「俺は第二型のモデルだ。古すぎて修理士すらいねえ。これ、まだ動くのかって何度言われたか。はは、人間みんなくたばれってんだ」  男はすねたような声を出した。わたしは何も言う気になれなくて、おばあちゃんの手を引いて、ひたすら前を見ていた。  しばらく無言が続く。 「おい、姉ちゃん。話し相手になってくれよ。一人で生きてきた年月が長すぎて、誰かとしゃべりたいんだ。寂しいんだよ、おじちゃんは」  どうしようか悩む。彼は悪いアンドロイドではなさそうだし、旧式だからそれほどの機能は持ってないだろう。警戒心を抱くほど、強そうでもない。会話は続けることにした。 「あなたはどこで製造されたの?」 「永遠って呼んでくれよお。これでも最初は美形アンドロイドって売り文句で販売されてたんだからさ。そんで姉ちゃんの名前は?」  ちっ、と舌打ちが聞こえた。おばあちゃんだ。
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