おじいちゃんの言う通り

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______ 空になったマンションを感慨深げに見渡す。 さすがプロの方々 部屋に合った荷物はあっという間に運び出されていった。 思い出もなくなったような 寒々しい部屋が … おじいちゃんに申し訳ないな… 大学時代に苦しんだすべてが夢だったような… 「すっかりきれいに片付いたな」 パタン。リビングの扉の開いた音と同時に 憎たらしい笑顔が近づいてくる 「まだグズグズと考えているのか?」 スーツをビシッと着こなした 背の高いイケメンめ。 キッチンとの間のカウンターに パサリと 透明ファイルに入った書類を置いた。 前に説明されたものだ 彼が 買い取るか きれいさっぱり終わりにするかの書類 「まぁ買い取る金なんかないだろうけどな」 とまたあの意地悪な笑い… マジムカつくんだけど…はぁ… 無駄にイケメンなんだよなー 「それからこっちは婚姻届け」 記入しとけって偉そうに私に突き出す フー… まぁ約束だし … 私が覚悟を決めてペンをとると 嬉しそうな彼が 「ハンコはこれ」っと差し出された … 準備万端だ事! 心の中で舌を出した。
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