第1話・恋愛びより。

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 ――そう。その人は僕と同性。  もちろんこれまで同性に恋心を抱いた事なんて一切ない。だからこの感情を理解した時、驚きを隠せなかった。  実際、荘真さんを初めて見た時だって、何とも思わなかった。  ――訂正。何も思わなかったわけじゃない。  僕の身長は一八〇センチ、体重六〇キロ。昔からもやしみたいに貧弱な体型がコンプレックスだ。  そんな僕の理想はまさに荘真さんだった。  彼は外資系の仕事をしているらしい。  僕よりも頭ひとつ分高い背に、襟足まで短く切りそろえられた黒髪。細くて鋭い目。すっと伸びた鼻の下にある薄い唇。端正な顔立ちをしていて、しかも肩幅だって広い。モデル並みの体型でとても格好良い。そんな彼は滅多に笑わなくて、薄い唇はいつもへの字に曲がっている。 『格好良いけれど、無愛想な人』  それが荘真さんに対する第一印象だった。  だけどもし――。  いつも無愛想な人が今まで見たことがないくらい、優しい微笑を見たら?  僕が大好きな子供たちにその笑みを向けたら?
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