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第2話・さあ、愛ある家庭を築きましょう。
紅葉のように小さな手が弱々しい力で人差し指を握っている。結 七緒はウサギやタヌキなどの可愛らしいイラストを織り交ぜて、『にこにこ保育園』と書かれている門を抜ける。4歳になるだろう男の子と後にした。
これから七緒が向かう場所は自分の家ではない。七緒が連れ歩いている男の子の家だ。
もちろん、七緒が連れ歩いているこの男の子は自分の子供でも弟でもない。面識さえもない今日初めて会う赤の他人だ。ならばなぜ、男の子を連れ立っているのかと言うと、そもそもの発端は昨日に遡る。
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