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地獄編
四十年間、私はムチ打ち刑を受けている。
毎日同じ時間になると、いつもと同じ処刑執行人に連れられて、暗がりから処刑台へと出ていく。そこはスポットライトが当てられていて、何十人もの見物人が眼をぎらつかせて、舌なめずりをしながら待っている。私は奴らの前に処刑人と横に並んで立ち、いつも同じ会話をしなければならない。そしていつも同じタイミングで、処刑人から素手で体をムチ打たれ、いつもと同じように観衆にあざ笑われるのであった。
公開処刑が終わると、処刑台を降りられる。執行人の後をついて、暗がりに戻ってゆき、牢獄の中に戻される。すぐに扉がノックされると、この処刑場を支配している男が入ってくる。そいつは相貌を崩しながら、やはりいつも決まった台詞を述べるのだった。
「いやあ、今日もよかったですよ。やっぱり鮭とばの漫才は最高ですねえ」
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