自由の箱庭

2/20
前へ
/23ページ
次へ
 最初はうっすらと開けてくる視界にしばし茫然としていた。  頭を誰かに押さえつけられているような感覚で、口を開くのも億劫に感じるほど全身がダルい。  何をしていたんだっけ。  覚えてる、獣道すら無い山を登っていた。  そこから……そのあと……。  最後に読んだページを探るような感覚で記憶を辿っていく。  その時、今まで塞き止められていた記憶が脳内に流れ込み、全てを思い出した。  ー誰かに襲われたんだ。  記憶の濁流が、今まで体にのしかかっていた鉛を流し去っていく。  そして、反射的に少女は跳び起きた。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

23人が本棚に入れています
本棚に追加