自由の箱庭

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 眩しい。  落とされた陽光が、葉に乗っている水滴によって乱反射し、一帯を光の渦にしたてあげる。  (くるぶし)ほどの高さの草が生い茂る草原に立っている自分。  その横を夏風が楽しそうに走り去っていく。   「もうちょっとこっちに来てー」  振り返ると湖の近くに女の人が自分を待っていた。  なぜだろう。嬉しいはずなのに苦笑いしかできない。 「今行くよ!」  向かい風だった夏風と、今度は同じ方向に歩き出す。  手を振る彼女が(たま)らなく愛おしい。  でも、どこか悲しい気持ちになる。  彼女が何か言ってる。  俺の名前か?  ああ、もっと大きい声で言ってくれよ。聞こえないだろう。  いや、聞こえるはずなんてない。
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