自由の箱庭

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 ラジオの雑音に目を覚ました。  昨日ラジオを聞きながら机に突っ伏して眠ってしまったらしい。 「……夢か」  先程見たにも関わらず、もう既に霞がかってきた夢。たまに見る夢……。 「電気が勿体ないな……」  未だノイズと共に言葉を紡いでいるラジオの電源を切ると、立ち上がって棚に向かった。  凄く疲れてる。  昨日少女を誘拐したわけだが、本当はこんな予定ではない。  前々から古屋などの手筈は整えていたが、人選はもう少し慎重にやりたかった。  だが、昨日。彼女がこの山奥にいた。  俺の計画がバレる危険性を考慮しての行動だったが、何よりわざわざ山を降りて誘拐する手間が省けたのがなによりも良かった。 「ん……」  声がする方に振り変えると、少女が寝ぼけた目をしながら上半身を起こしていた。 「起きたか」  初めのうちは呆けていた少女だったが、昨日のことを思い出していくに連れて顔を青ざめていく。 「あ、あぁ……」  頭を押さえながら泣き始めた少女はそのまままたベッドに倒れこむ。  一連の少女の行動を見ていた男は、棚から缶詰を二個取ると、そのうち一個をベッドに置く。  少女は壁の方を向いて自分に背を向けるように寝ている為気づいていない。 「……ここに置いておく、食え」 「うぅ…………」  返事はなく。代わりに聞こえるのは少女の啜り泣く声と雨音だけ。 「……はぁ」  男はため息をこぼしたまま、椅子に座り缶詰の蓋を開けた。  やがて、少女の泣き声が聞こえなくなった。
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