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「ウソがいなくなっちゃった」  寝ぼけ眼の男の元へ、トコトコとやってきたホントが涙を浮かべながら、ポツリと言いました。どうやらウソは家出をしたようです。 男は日頃、ウソのことはあまり気にかけていませんでしたが、片割れがいなくなり落ち込んでいるホントを元気づけるべく、家出したウソを探すことにしました。  男とホントは二人で近所を探し始めましたが、なかなか見つかりません。道ですれ違う人や子犬、チョウチョにも尋ねましたが、誰ひとりウソを見かけたひとはいませんでした。 「もう探さなくても大丈夫じゃない?」  だんだんと面倒くさくなり、疲れてきていた男がポロッとこぼした一言は、ホントの逆鱗に触れました。ホントは再び涙を浮かべながら、男が普段からウソに構わなかったことや、ホントばかりをひいきしていたことなど、ウソに対する男の態度を一気に責め立てます。ホントの言うことは全て本当なので、男はぐうの音も出ません。たっぷりと絞られた男は、渋々ながら再びウソを探し始めました。  しかし太陽が二人の頭の上に昇ってきても、ウソは見つからないどころか、見かけたひとも一人もいません。ホントの顔にも疲れが見え始めた頃、二人の目の前に一羽のキツツキがやって来ました。 「お二人さん、ひと探しかい?」 「ああ、そうなんだ、うちのウソが突然家出しちゃってさ、どっかでウソの奴見たりしませんでした?」男がそう尋ねると、キツツキはニヤッと笑って、「オレ、そいつ知ってるぞ」と答えました。男は初めての情報に喜びましたが、ホントは喜びつつも不安な様子。そんな気持ちを察したキツツキは「大丈夫だ、オレを信じろよ。オレは世界で一番本当のことしか言わないキツツキだぜ」と言って飛び立ちました。  本当と言う言葉に弱い男とホントは、キツツキを信じて付いていくことにしました。
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