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「あ、さっきのキツツキさんだ」フクロウに言われた通りに進んだ道の先には、先程のキツツキがいました。
「急に飛んで行っちゃうからビックリしたよ、一緒に行ってくれても良かったのに……まあ、でも、アンタには感謝してます」
「あ?感謝?」
「ああ、俺達をここに連れてきてくれたことだよ。おかげでいい話が沢山聞けた」
男がそう言うと、キツツキは小さく舌打ちをしてから「フクロウの奴、楽しませてどうすんだよ」と、先程とひとが変わったように吐き捨てました。二人がキツツキの変わりように戸惑っていると、キツツキは突然大声で「もういい!お前ら行け!」と叫びました。すると、ズラッと並んだ本棚の中から沢山のコウモリが一斉に飛び出し、あっという間に男の周りをグルッと取り囲みました。
「わあーーーー!なんだ、こいつら!やめろ!」
「だいじょうぶか⁉おい!離れろ!」
突然のことに慌てふためく二人を嘲笑うようにキツツキが言います。
「そいつらをどうにかして欲しいんなら、ウソを置いてここから立ち去ると言え!」
コウモリに囲まれながらも、男は必死に抵抗します。
「俺達はウソを連れて帰るんだ!ウソは俺達の大事な……」
「大事⁉よく言えたもんだな!お前はずっとウソをないがしろにしていたじゃないか!お前らなんかといるより、ウソはここにいる方が幸せなんだよ!」
ウソが大好きなキツツキは、男に雑に扱われるウソが可哀相になり、男から引き離すために森に連れ込み、コウモリに襲わせる計画を立てたのです。騙されたと知った男は項垂れ、ヘナヘナと崩れ落ちました。そして、力なくホントに「……帰ろうか」と言いました。
「……俺、やっぱり嘘嫌いだわ……本当だけでいいや、お前だけでいいや」
「よくない!お前は自分をダマしてるだけだ!それじゃあ、ウソもぼくも二人とも、ないがしろにしてるのと同じだからな!」
ホントの言葉に男はハッとしました。今まで自分に嘘をついているだなんて考えたこともなかったからです。
「あと、キツツキさんも!アンタのやってることもただのダマしだ!ウソのためじゃないぞ!」ホントの言葉にキツツキもハッとしました。自分のしていたことが逆にウソを傷つけていたかも知れないと気付くと、途端に恥ずかしさがこみ上げて来ました。そして、「今回は見逃してやるが、またウソを傷つけるようだったら今度は本当に許さないからな!あと、オレはお前が大っ嫌いだからな!」と言い残し、コウモリ達を引き連れ飛び去りました。
男はキツツキたちが去って行く姿を見つめながら、横で得意げに胸を張る、自分より遥かに小さなホントがとても大きな存在に思えました。
「お前は本当に本当のことしか言わないな」
「当たり前だよ、ぼくはホントだからね。でも、ぼくだけじゃダメなんだよ」
「こんな目に遭ってもか」
「そうだよ、何があっても」
「そうか」と呟いた男はゆっくり立ち上がり、ホントの手を握りました。
「ウソを迎えに行こうか」
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