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後日談
人狼ゲームが終わった後。
私たちは本当に元の世界に戻ることができた。
親友のミツキや処刑されたり人狼に襲撃されたりしたクラスメイトも戻ってきた。
今は昼休みで宿泊学習の感想文を書く宿題をミツキと一緒にやっている。
私は本番用の原稿用紙を手に取る。
「怖かったね、人狼ゲーム」
私がポツリとミツキにつぶやく。
「えっ、何のこと?」
下書きを書いては消していたミツキがパチパチを目を瞬かせる。
もしかして……死んだ人には記憶がないのかな?
それじゃあ――
「ううん、なんでもない」
私はふふっと小さく笑った。
「次の授業って体育だったよね、何をやるんだっけ?」
ミツキが私に質問する。
次の授業は体育で私たちたちは今、体操着を着ている。
「えーっと、確かリレーじゃなかったっけ?」
「そっか、ありがとう」
ミツキが笑顔で返してくれる。
ぞろぞろと足音が近づく。
気が付くと、人狼ゲームに参加させられた九人全員が私とミツキの周りに集まっている。
そういえばあの後GMの姿は見ていないけど……どうしてるんだろう。
もしかしたらまた人を集めて人狼ゲームをやっているかもしれないけど。
それでも、もうあんな殺し合いはごめんだ。
「行かないのか? 授業遅れるぞ」
気を使ってくれたのかカイキが無表情で忠告してくれる。
「行こっか、レイカ」
「うん」
そこまで言うと、二人はイスから立ち上がる。
九人でドタドタと階段を下っていく。
「なぁ、校庭まで競争しないか?」
昇降口で靴を履き替えるレオンが言う。
「いやですわ、リレーをやる前に体力が失われてしまいます」
アリサがキッとレオンをにらむ。
「競争なんでしないでもレオンがぶっちぎりで一位だろ」
シノがレオンにツッコむ。
「どんなのどーだっていいじゃん! んじゃ、行くぞ~」
レオンが一番に走り出す。
私たちもそのあとについた。
視界の端っこに人影が見える。
あれ、さっきあんなところに人なんていたっけ?
私は思わず振り返る。
でも、人影なんてどこにもなかった。
気のせいかな……?
まぁ、いいか。
私はみんなに追いつくために走る速度を上げた。
―Fin―
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