宿泊研修

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宿泊研修

 さっきまでの(いえ)(おお)かった景色(けしき)から一気(いっき)山々(やまやま)(ひろ)がる。    バスの車内(しゃない)何人(なんにん)かでマイクを()りて(うた)ったり、おしゃべりしたりなど、にぎわっていた。  今日は仙泉小学校(せんいずみしょうがっこう)(しょう)宿泊学習(しゅくはくがくしゅう)(いま)日光東照宮(にっこうとうしょうぐう)から(ちか)くのホテルまでのバスで移動中(いどうちゅう)。  その中、白石(しらいし)レイカは(しず)かに(やま)(ひろ)がる景色(けしき)()ていた。 「ねぇ、(いま)からトランプをやるんだけどレイカもやらない?」    ふと、(うし)ろから(こえ)がかかる。  ()(かえ)ると、高畑(たかはた)ミツキがこっちを()きながら微笑(ほほえ)んでいた。  彼女(かのじょ)高畑(たかはた)ミツキ、(わたし)数少(かずすく)ない友達(ともだち)だ。  (わたし)はクラスのはじっこで(ほん)()んでいるおとなしいタイプだが、対照的(たいしょうてき)(あか)るくてみんなから()かれている。  (わたし)はそんなミツキを(こころ)から信用(しんよう)している。 「(だれ)とやるの?」 「えーっと、カイキとレオンとマイとアリサだよ」 「カイキがトランプやるの……?」 「うん、そうらしい」  ミツキはコクコクとうなずく。  (わたし)()(おお)きく見開(みひら)いた。  えっ? なんでこんなに(おどろ)いているかって。  それはね、水谷(みずたに)カイキはこの学校一(がっこういち)天才(てんさい)なんだよ。  専門(せんもん)学者(がくしゃ)しか()まない(ほん)やどんな(だれ)にでも()めなさそうな文字(もじ)もカイキなら()めてしまう。  専門知識(せんもんちしき)にとどまらず、どこでも使(つか)わなさそうな雑学(ざくがく)まで()っている。  カイキがトランプなんてやってしまったら毎回(まいかい)カイキが一位通過(いちいつうか)しちゃうよ。 「……わかった、やろう」    (わたし)(しず)かに()うと、ミツキは手招(てまね)きをする。  (わたし)はミツキと一緒(いっしょ)(ひと)(うし)ろの(せき)移動(いどう)した。  そこにはカイキとレオンが、アリサとマイがそれぞれペアで座席(ざせき)(すわ)っている。 「レイカもトランプやるのか?」  レオンがニカッとレイカに()けて笑顔(えがお)(つく)る。  黒木(くろき)レオンはカイキの親友(しんゆう)でサッカーが得意(とくい)だ。  そのうまさはとてつもなく、サッカーの強豪校(きょうごうこう)からはすでにスポーツ推薦(すいせん)入学(にゅうがく)するのとが()まっている。  しかし、スポーツ以外(いがい)(かん)してはすごく鈍感(どんかん)だ。 「(べつ)にいいでしょう? トランプは人数(にんずう)(おお)(ほう)(たの)しいわよ」  アリサは上品(じょうひん)微笑(ほほえ)む。  姫海堂(ひめかいどう)アリサは学校(がっこう)のお嬢様(じょうさま)両親(りょうしん)会社(かいしゃ)(つく)って大成功(だいせいこう)をしている。  アリサの(いえ)一度行(いちどい)ったら自分(じぶん)(いえ)とつい(くら)べてしまうという(うわさ)だ。  (わたし)はアリサの(いえ)()ったことがないからわからないけど。 「やるんだったらやろう。できる時間(じかん)()くなっちゃう……」  マイはみんなにギリギリ()こえるぐらいの(ちい)さな(こえ)()う。  マイは(わたし)(おな)じく(しず)かなタイプだが、アリサとたまたま(せき)(となり)だったから(さそ)われたらしい。  マイはお(かあ)さんが(うらな)()でよくテレビに()ている。  クラスで話題(わだい)になることのよくあるが、本人(ほんにん)(うらな)いには興味(きょうみ)がないからクラスメイトに注目(ちゅうもく)()びないようにできるだけ(かく)れるように()ごしている。 「うん、やろうっか。カード(くば)るね」  (わたし)はそういうとリズムよく、カードを()って(くば)(はじ)める。 「「「「「「じゃ―んけーんぽん!!!」」」」」」  六人(ろくにん)はタイミングを()わせてじゃんけんをする。  (ひと)()ちをしたアリサがマイのカードをひく。  そうしてゲームは(はじ)まったのであった。          
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