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無残な姿
「ふぁ……」
朝日が直撃してまぶしい!
ローテーブルの上に〈狩人〉と書かれている。
これ人狼ゲームの役職だよね? なんでここに……。
まあいっか。
私は軽く髪の毛をとかすと部屋を出る。
みんな昨日は早く寝ていたからなのか私がエントランスに来ていたころには私以外の全員が起きていた。
「おはよう、マイ」
私は近くにいたマイに声をかける。
「お、おはよぉ……」
消え入りそうな小さな声でマイは挨拶をした。
なんか、様子が変だな。
マイは引っ込み事案ではあるけど、ここまでおびえた様子は見たことがない。
……絶対に何かあったな。
私は急いで階段を下りる。
みんなが集まっているのはエントランスから少し廊下に出たところ。
「何があったの⁉」
私は大きな声を出す。
「そ、それがね」
レオンがガタガタと体を震わせる。
みんなが道を作るように廊下の端に行く。
私はその光景に釘付けとなった。
宿長である一ノ瀬さんが死んでいた――。
あたりには血が飛び散っている。
切り裂かれた服、深い傷……あまりにも残酷だ。
ガチャッ
その時、宿の入口のドアが開いた。
誰⁉
そこには白髪のおじいさんが立っていた。
「誰ですか?」
カイキが真っ先におじいさんに話しかける。
「私はGMです。あなたたちにはこれから〈人狼ゲーム〉をしてもらいます」
GMと名乗るおじいさんはニコニコと笑顔で話す。
「ふざけるんじゃねぇ!」
シノが声を荒げる。
「この宿長が死にましたよね? この傷口から見て人狼の仕業に違いありません。私がここから出てもいいですけど、助けはきませんよ?」
なんでそれを知ってる?
私は疑問に思っていると、GMはこう言った。
「ここ周囲は電波もつながりませんし、助けも来ません。これは私がやったからですよ、皆さんが〈人狼ゲーム〉をやっていただければ元の世界に戻しましょう」
電波も助けが来ないのもこのGMの仕業か。
それならGMに従うしかない。
「そもそも〈人狼ゲーム〉って何なんだ?」
ホノカが首をかしげる。
「おやおや、人狼ゲームを知りませんでしたか。では一から説明しましょう。」
GMはそこまで言うと、一呼吸置く。
それからまた話し始めた。
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