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役職説明
「人狼ゲームは人狼と市民の戦いです。皆さんはこの中に紛れ込んでいる人狼を二匹見つけ出して処刑する必要があります。人狼をすべて処刑すれば市民の勝利、市民を全滅させた場合と市民と人狼の数が同じになると人狼の勝利となります。もし市民が勝ったら人狼も市民も全員もとの世界に戻ることができます」
GMが説明し始めるとみんなが真剣に聞き始める。
あれ、みんな人狼ゲームをやったことがないのかな?
「市民と人狼だけだと人狼を見つけ出すのは難しいでしょう。なので、占い師、霊能者、狩人の三つの役職を用意しています。そして人狼側は人狼と狂人を用意しています。順に説明しますね、まずは占い師。占い師は毎晩一人を占うことができます。人狼は『人狼である』、それ以外は『人狼ではない』という結果になります」
「今日って誰か占えているのでしょうか?」
アリサがGMに質問する。
「今日、朝起きた時にテーブルの上にカードが置かれていましたよね? それがあなたの役職です。初日の占い結果は必ず『人狼ではない』人が占われます。結果はカードに書かれていますよ」
GMがアリサの質問に笑顔で答える。
「次に霊能者です、この役職はゲームの進行ことが非常に多い役職です。前日処刑した人が『人狼である』か『人狼でないか』がわかります。先ほど言ったようにこの役職は進行を行う役職となっているのでとても重要な役職となっています」
確かに、霊能者は重要な役職だな。
「次は狩人です。狩人は毎晩一人を人狼の襲撃から守ることができます。もし、人狼の襲撃先と狩人の護衛先が被った場合は犠牲者は出ません。しかし、自分を守ることはできないので名乗り出てしまうと真っ先に人狼に狙われてしまいます。二日以上、同じ人を護衛することは可能となっています」
……自分の役職だ。
狩人は霊能者とは違って一言でいうと『縁の下の力持ち』という感じだ。
だからきちんと犠牲者を出さないようにするのが私の使命だ。
「これで市民陣営の特別役職の説明を終わります。次は人狼陣営です、まずは人狼。人狼は市民を減らすことが目的です。占い師に占われると『人狼である』となります。市民のふりをして議論時間を生き延び、夜の行動で一人を襲撃しましょう。さっき言った通り、人狼の襲撃先と狩人の護衛先が被ったときは犠牲者は出ません」
ここからは人狼陣営の説明だ。
みんなの目が鋭くなるのが分かる。
そんな中GMは怖いぐらいにニコニコと笑っていた。
「最後に狂人についてです。狂人は人狼に味方する人間です、人間なため占い師に占われると『人狼ではない』という結果になります。狂人は場合をかき乱すために占い師の対抗に出るなど工夫して人狼に自分が狂人だということを示す必要があります」
最後っていうことはあとは市民っていうことだよね。
っていうことは、今回の構成は……
市民 三人
占い師 一人
霊能者 一人
狩人 一人
人狼 二人
狂人 一人
という感じになる、これだと人数がちゃんと九人になる。
「何か質問はありますか?」
「市民は何も能力がないという解釈でいいんですか?」
カイキが質問する。
「そうだね、その代わり自分の意見をスバッと言える。これは市民の特徴でありますね」
GMがすぐに質問に答えた。
「それでは議論を始めたいと思います。えーっと、今は五時二十分なので五時半から議論時間にしましょう。それまでにラウンジにお集まりください」
えっ、もうそんな時間⁉
私はエントランスにかかっている時計を見る。
……本当だ、さっき起きたばっかりなのに。
チラッと窓のほうを見る。
まぶしいぐらいに夕日が差していた。
もしかして、GMが時間操作しているとかないよね……?
私はじっとGMのほうを見る。
GMは私の視線に気付きながらも、終始ニコニコと笑っていた。
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